フライウェイ・サミット:私たちの宣言

70カ国から100団体が渡り鳥への脅威に取り組むために集まりました。 写真提供: © Pawel Horazy

先日、世界中の主要な野鳥保護活動家が集まり、一つの問題について話し合った4日間の世界サミットが終了しました。その問題とは、渡り鳥を彼らの航路上の各場所でどのように守るかということです。以下は私たちの結論です。

鳥の渡りは、国境を越えて数千マイルも離れた国々をつなぎ、私たち皆を元気づけます。空を見上げればわずか数週間、時には数日で全く違う大陸を越えて来たその鳥を見ることができるという考えは、私たちの視野を広げます。しかしこの長距離におよぶ移動中に渡り鳥は、多くの危険に遭遇します。そのほとんどは人間に由来するものです。狩猟、生息地の消失および人工構造物は、彼らのルートに常に存在する脅威です。世界的な現象には世界的な解決策が必要です。ですから「フライウェイ・サミット」は、タイミングよく行われたのです。

4月23日~26日にアラブ首長国連邦のアブダビで開催されたこのサミットは、NGOのための会合というだけではありません。実際の行動を起こすためには保護活動にあらゆる分野が加わる必要がありました。科学者が経済界と付き合い、政策立案者は資金提供者と話をし、70カ国から100の異なる団体が情報を共有し、貴重な連合を形成しました。熱心なワークショップ・プログラム、討議、情報交換ののち、その成果は将来に対する次の実用的なステップになりました。

いくつかの全体的なテーマが明らかになりました。これらの計画を成功させるためには、自然保護活動の現場において地元の人々を参画させなければなりません。私たちは速やかに行動する必要があり、優先事項を政治や法律に受け入れさせなければなりません。そして、何よりも国々をつなぐ鳥と同様に私たちがつながっていなければなりません。

以下は、渡り鳥への主な脅威に対し私たちがどのように取り組むのかという事の概要を示した公式宣言です。

 

世界フライウェイ・サミット宣言:自然をつなぎ人々をつなごう

2018426日、アブダビ・アラブ首長国連邦

「鳥を保護することは世界のほとんどの環境問題に対処することになる」 トーマス・ラブジョイ(著名な生物学者で、「生物多様性」という語の発明者)

2018年4月23~26日、第1回世界フライウェイ・サミットのために70カ国から100団体の政府、資金提供者、民間部門、調査、NGOおよび国際会議代表がアブダビに集まりました。この初めての会合には、多くの渡り鳥の個体数が深刻な減少をしていることに対して取り組むために、世界の8つのフライウェイから活動家と政策決定者が集まったものです。サミットの成果は「2018年版世界の鳥の現状」の発表により伝えられました。世界の鳥11,000種のうち5種に1種が渡り鳥であり、そのほぼ40%が減少傾向にあり、そのうちの9種に1種は世界的に絶滅が危惧されています。

グローバル化がますます進む世界で、渡り鳥は人々、生態系、国民をつないでおり、環境と世界の生命維持システムの状況を知る重要な指標です。渡り鳥の保護には、生息地と生態的プロセスの大規模な連続性を守ることができるかどうかにかかっています。それ故に、フライウェイの保全は、生物多様性、気候、持続可能な開発目標を達成するために我々が必要とする国際協力の典型的な例なのです。

サミットの参加者は、既存の保護戦略、行動計画および誓約を完全に履行するために早急に行動を起こさねばならず、これまでに得られた経験を「環境文明」のコンセプトに包含し、持続可能な開発目標の達成に寄与する野心的で効果的な2020年以後の世界の生物多様性枠組みの策定に組み入れられるべきであると決議しました。このことは、政府と企業双方の政策決定者および個々の活動の中心に自然を置くために必要なことなのです。サミットの主要メッセージは以下の通りです。

 

渡り鳥は自然保護のための最も重要なものであり、指標です。

  • 渡り鳥はしばしば世界規模の長い旅を通して私たちを結び付け、国や大陸全体の人々を元気付けます。彼らはフライウェイに存在する脅威に極めて脆弱です。渡りの驚異と壮観さは彼らの旅の途上での多くの障害や挑戦を超えた野生生物の勝利を象徴するものですが、これらの障害は人間に由来するものがますます多くなり、これまでになく深刻化しています。
  • 渡り鳥にとってフライウェイ沿いの主な脅威には、生息地の消失あるいは劣化につながる農業と沿岸の開発や、衝突・感電死またはやむを得ぬ移動の原因となる風力発電や送電線の不適切な場所への設置や操業、そして、密猟や毒殺などの持続不能な捕獲および気候変動などが含まれます。

 

効果的なフライウェイの保全は、フライウェイ内およびフライウェイ間のローカルからグローバル、グローバルからローカル規模での協調性の取れた活動にかかっており、地元コミュニティを含む主なステークホルダーや、以下のような全ての保全アプローチと枠組みを含みます。

  • 地元の人々に鳥と生息地調査の補助に介入してもらうことや、明確な科学的根拠のある優先事項の設定、政策決定、保全活動を伴う証拠に基づく活動を確実に実施すること。
  • 「東アジアーオーストラリア・フライウェイ・パートナーシップ」や「西半球シギ・チドリ類保護ネットワーク」などのサイトのネットワークを含む渡り鳥を契機に始められたIBA(鳥を指標とする重要生息地)などの主要サイトのネットワークを特定、保全、管理、復元、連結およびモニターし、景観規模での持続可能な土地利用(特に農業)を確実に実施すること。
  • 土地利用と海の景観計画および開発計画、プログラムやプロジェクトの実施に、渡り鳥への累積的影響が必ず考慮されること。それにはフライウェイ規模での戦略的環境評価に政府、企業および他のステークホルダーが関与すること。
  • 渡り鳥と他の生物多様性保全を、エネルギー、インフラ、採掘産業などの分野で確実に主要テーマとすること。
  • 多国間環境協定(MEA)、特に国連の移動性野生動物保全条約(CMS)、アフリカーユーラシア渡り性水鳥条約(AEWA)、ラムサール条約および生物多様性条約(CBD)を支援すること。また、活動を促進、統合し、経験と情報を共有するために複数のステークホルダーのテーマ別および種別のワーキンググループ、タスクフォース、ネットワークの構築を含む国内および政府間レベルでの合意と活動の実施を確実にするため、より協調の取れた方法で作業を実施すること。
  • フライウェイ沿いの全ての国とステークホルダー間の協力を支える国際機関と共にフライウェイの保全の管理を強化すること。特にアメリカ大陸―中央アジア・フライウェイ、アフリカーユーラシア・フライウェイの一部の西アジア-東アフリカ・フライウェイ、アフリカ内フライウェイで行うこと。
  • 必要に応じてEU自然指令やUS渡り鳥保護法などの関連する国内および地域の政策、法律、法的枠組みを強化すること。
  • 渡り鳥の保護に関して公衆の活力と政治的義務を増加するために、渡り鳥への関心、理解、支援を高めること。

 

サミットでは多くの重要な活動に合意し、以下のフライウェイ保全のための8つの最優先事項を検討しました。

海岸

関連MEAにより承認されている、複数のステークホルダーが参画する世界「海岸への管理・配慮」フォーラムは、気候変動への復元力を含め、渡り鳥と生態系サービスのために海岸の生態系保全、管理、復元への持続可能なアプローチを進めるために、関係するステークホルダーを集めて行われるべきである。それは「フライウェイ・サイト・ネットワーク」などフライウェイ規模の保全のための既存のパートナーシップとメカニズムを支えるべきであり、また海岸環境の状況と傾向(例えばアラビア地域)の地域状況の解析に基づくべきである。

 

エネルギー

渡り鳥にとって必要な物が、電力生産の全ての局面(計画、発電、送電および配電)において、陸上および洋上の再生可能エネルギーと送電部門に対して主軸にならねばならない。問題への認識と解決策が、エネルギー関連省庁、投資家、プロジェクトの開発業者、資金提供者、公益企業などのステークホルダー間において、鳥とコウモリの保護を統合するためのビジネスケースを強調して、初期の段階で提起されるべきである。目標となるガイダンスが強力な遵守メカニズムと環境省庁の大きな力と権限により策定、通知され守られなければならない。CMSのタスクフォースがこれを支援することができる。

 

密猟

全ての政府が野鳥の違法な殺戮、捕獲及び売買に例外のない誓約をしなければならない。関連する法律と司法手続きの強化、遵守、施行のために一層の努力と、姿勢を変えるためにステークホルダー、地元コミュニティや幅広い社会の関与が必要である。バードライフの鳥の密猟への再考察を基準としてとらえ、全てのステークホルダーを加えて国の行動計画を含む国の進展度をスコアボードに採用した「ベルン条約のチュニス行動計画」と「CMSの地中海タスクフォース」はこれを手助けする重要なツールである。他の地域、特に急務であるアジアでは同様のメカニズムが必要である。

 

ノガン類

ノガン類は農牧畜・草原景観を象徴する種であり、その保護には適切な保護区の管理、ノガンの保護に賛同する土地利用の支援、密猟の阻止、認識の喚起、より効果的な国際協力などを必要とする。特にフサエリショウノガンについては狩猟が現場の内外における統合的アプローチの一部として規制され、持続可能であることが確保されなければならない。アジアの熱帯種、特にインドオオノガンに対しては緊急な行動を要する。

 

アフリカ-ユーラシアのハゲワシ類

会議参加者はCMSのハゲワシ類複数種行動計画の重要性を強め、全てのステークホルダーをまとめる「実行者のコミュニティ」の必要性を強調した。コミュニティと政府が共同で毒入り餌の脅威に取り組むための緊急な対応メカニズムを導入し、証明されている危険を減らすために緊急に獣医薬の安全性テストを行う必要がある。南アジアでは「ハゲワシ安全地帯」が重要である。同様の適切に適応した景観アプローチは、特にアフリカなどの他の地域でも大変有望である。

 

セーカーハヤブサ

「世界セーカーハヤブサ行動計画(SakerGAP)」の重要性が再確認され、そこには特に透明性のある合意形成アプローチに関連する管理と、モニタリングシステムが含まれた。その象徴的プロジェクトの素晴らしい進展に注目しつつ、SakerGAPの実施は規模の拡大と他の領域への拡張、特に感電死という最大の脅威に取り組むことが必要である。

 

能力育成

フライウェイの保全がサイトのネットワークを必要とするように、それぞれのフライウェイ沿いの各国で活動する人々と団体のネットワークが必要である。バードライフ・パートナーなどの市民社会団体を支援し、フライウェイ保全を特定、唱道、実施するために、主な能力構築の不足点と成功例を明らかにし、そのような活動に立脚した戦略を策定、実施する必要がある。

 

鳥類保護のための資金提供者同盟

サミットに出席した資金提供者は、世界のフライウェイ沿いでの鳥の保護の促進努力にテコ入れするために、同盟を通じてより効果的な協力を行い、鳥を生物多様性と人類の福祉の大使として利用することに興味を示した。資金提供者はこの活動に追加資金が必要なことを認識し、アメリカ国立魚類&野生生物基金とQiaonyu基金が同盟を構築、拡大するために今後12カ月の間に会議を主催するという申し出を心よく受け入れた。資金提供者は、この共同作業の議長としてバードライフと活動を共にすることを楽しみにしている。

 

報告者:Jessica Law

原文はこちら

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