牛乳搾り:鳥に優しいオランダの酪農

オグロシギ 写真提供: © Martin Hierck

ここ数年、VBN/BirdLife Netherlands(オランダのバードライフ・パートナー)はオランダの世界的に有名な乳製品を、その美味さと同様に、持続可能で自然に優しいものにするため、農家との共同作業を行って来ました。Gerrit Gerritsenが大変有望な始まりについて語ります。

最近の国際的な研究が、オランダ人が世界一身長が高いことを示しました。平均身長は184㎝で、驚くことに150年前と比較するとおよそ20㎝も高くなっているのです。ではかつて背が低いことで有名だった国民が、どのように突然背が高くなったのでしょうか?多くの人がすぐに思いつく答えは明らかで、エダム、ゴーダ―、レアダマなどのチーズに含まれる乳製品が豊富な食事です。チーズの大生産国が今や巨人の国であることは偶然の一致とは言えません。

このような国民の急速な成長の背後にある要因は複雑ですが、オランダで乳製品が大きなビジネスであることは否定できません。第2次世界大戦後オランダ政府は、乳製品産業の大がかりな改善プロジェクトに着手しました。数十年に及ぶ国とEUからの巨額な補助金がその過程を一層加速しました。70年が経った今、牛乳生産は極めて巨大な産業となり、国内消費にはその20%しか必要ではありません。残りの80%はチーズあるいは赤ちゃん用の粉ミルクとして輸出されています。

アカアシシギ
写真提供: © Martin Hierck

しかし、この巨大な経済的成功の一方で、農地の生物多様性、田園風景、動物福祉に対して悲惨な結果を、また中小規模の農家にも多くの不利益をもたらしました。オランダの土地はかつて牧草地の鳥たちで輝いていましたが、排水、早期の刈り入れ、生物多様性の豊かな草原を不毛な単一栽培へと大規模な転換を行ったことで、大きな打撃を与えました。僅か数十年でエリマキシギとヒバリの個体群はほぼその全てを失い、国鳥であるオグロシギもがっかりするような数に減りました。「沈黙の春」が低地を訪れたのです。

国内の一部では、農家がEUの共通農業政策(CAP)の元での農業―環境スキーム(AES)に参加することが出来ます。このようなスキームは、農耕地の鳥の減少を遅くすることを意図していますが、現実はあまり明るいものではありません。官僚主義の問題、管理の質、短期志向、不十分な予算などの全てが、本来は良いはずの意図を悪くしています。事実、最近欧州会計監査院はCAPのグリーニングでの失敗に関する手厳しい報告書を発行し、その中で「まだ環境的には効果が出ていない」と記述しています。

2012年以降VBN/Birdlife Netherlandsは、オランダの乳製品業界に生物多様性対策は彼らの持続可能プログラムの中心に置くべきもので、ビジネスモデルの成功部分になりうるということを説得することを試みて彼らに働きかけています。まだ彼らとの対話は進行中ですが既にいくつかの有望な結果が出始めています。

オグロシギ
写真提供: © Rene Faber

2014年に私たちは有機栽培で、生物多様性の豊かな農場の新しいチーズ作りを始めました。ここでは33%の草地が、オグロシギの雛が飛べるようになる6月中旬以降に刈り取られます。この農場では農業―環境スキームとチーズ生産の利益からオグロシギ管理費が支払われます。ここの農民のHenk Pelleboerはバードウォッチング・サファリを企画し、毎年数千人の人が農場を訪れています。ここで生産されたチーズは大衆からの評価を得ていますが、まだ60ヶ所しか売り場がなく、スーパーマーケットでの販売を考えるべき時期にきました。

2016年には乳製品企業のNoorderlandmelk社と協力して牛乳、ヨーグルト、コテージチーズの新製品の発売に成功しました。「Weide Weelde」(「贅沢な牧場」の意味)というブランドで販売されるこの製品には、バードライフのロゴが堂々と付けられ、オランダで2番目に大きなスーパーマーケット・チェーンのJumboのほとんどの店頭に置かれています。「Weide Weelde」の牛乳はオランダ北部の12の非有機農場から集められ、各農場は乳製品産業からの報酬を受けたアドバイサーの助けを受けて自然管理計画を作成する義務があります。当初は、農場は少なくとも10%を鳥に優しい方法で運営を行い、3年後には20%に引き上げました。

VBNは、会員に対し、これらのおいしくて鳥に優しい製品の販売促進を積極的に行い、その結果、製品への関心が乳製品産業と消費者の両方で急速に高まっています。昨年はZuiver-ZuivelWeerribben-Zuivelのブランドを持つバイオダイナミック(生物力学)農場と契約を締結しました。私たちはこれが素晴らしい友好関係の始まりになってくれるものと考えています。

報告者:Gerrit Gerritsen―VBN上級牧草地の鳥保護活動家

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