「ラザロ効果」:一種を守れば森全体を復活できる

ニュージーランドではネズミを駆除したことでミツギリゾウムシの一種により良い生存の機会が生じました。 写真提供:© Steve Reekie

害獣管理は、キーウィを救うだけではありません。ニュージーランドの森では何年も見られなかった種が、戻ってきています。アン・グレームが、異なる種の群集保全により在来の鳥、植物、昆虫が戻って来たという元気の出る話を共有します。これが「ラザロ効果」です。

その夜は雨でした。ネズミの餌が入った重い荷物を背負い、私はピンクのリボンのついた餌糸「東8号」に沿って森の中を歩いています。急で滑りやすい土手を上り下りし、木の幹を掴んで体の位置を高くします。そこに餌箱があります。蓋を開け、ワイヤーを引っ張り、餌を滑り込ませ、蓋を閉め、次の餌箱を探します。それは遥か下方にあり、ピンクのリボンがはためいています。

私は疲れており、ずぶ濡れで泥だらけでしたが、考えざるを得ませんでした。「こんなことをやる意味があるのかしら?何か良いことをしているのでしょうか?」次に手を倒れた木に置いて体を持ち上げた時に、一匹の昆虫を見つけました。何処にでもいる普通の昆虫ではなく、びっくりするような奇妙な昆虫、ミツギリゾウムシの一種でした。それは私をビーズのような目で見つめ、ばかばかしいほど長い吻の先にある小さな触角を振っていました。この触角は雄のものです。雌の場合は、穴を掘るのに邪魔にならないように、触角がもっと吻に沿っているからです。

このミツギリゾウムシの一種は、珍しい昆虫ではありませんが、ネズミにとってはカリカリとした美味しい食べ物なのです。腐った丸太に堂々とよじ登っていたこのゾウムシの仲間は、私たちのネズミの駆除作業に効果が出ており、運んでいる餌が在来の動植物が生き残れるかもしれないという期待を確信させるものでした。

数百人もの地元のボランティアが、10以上の森林復元プロジェクトで毎月行っているこの作業は、やる意味があるのです。害獣がいなくなるのに伴い、種は芽を吹き、新芽が現れ、鳥やトカゲや無脊椎動物が隠れ場所から現れます。そのような話が幾つかあります。

25年以上前にニュージーランド北島のラッセル半島の地主が、自分の土地にいるキーウィを守るためにローレンス・ゴードンを雇いました。彼の害獣管理体制によりキーウィは数を増やし、21世紀に入るや、彼の活動はラッセル・ランドケア基金のイニシアティブの一つ、ラッセル・キーウィ保護基金により強化、拡張されました。現在では、同半島内には500羽以上のキーウィが生息し、その声はラッセルの商業地域でも聞こえるのです。

数十年も姿を見せなかったニュージーランドヒタキがラッセル半島に再び現れた。
写真提供:© Philip Disberry

害獣駆除による利益を受けているのはキーウィだけではありませんでした。住民が喜んだのは数十年も姿を見せなかったニュージーランドヒタキが見られるようになったことです。巣を襲うネズミやオコジョやフクロネズミの数が減ったので、この小鳥はより安全にヒナを育てることが出来るようになったのです。

1995年にはニュージーランドクイナ(North Island Weka:絶滅危惧Ⅱ類)がラッセル半島に放鳥されました。それらはフォレスト&バード(ニュージーランドのパートナー)のメンバーが捕獲繁殖飼育していたものです。クイナも数を増やし、現在では数千羽になりました。これらの例は氷山の一角に過ぎません。キーウィを助けることを目的とした害獣管理のおかげで、他の目に付かなかった多くの在来種も元気に成長していることは疑いがありません。

この若鳥のようにニュージーランドクイナは今では数千羽に増えています。
写真提供:© Murray Drake

ニュージーランドヒタキと同様、ミドリイワサザイも巣を襲う捕食者による被害を受けてきました。タランガ市の西方のカイマイ地域では、ミドリイワサザイの記録がありませんでしたが、近隣のアオンガテテで害獣管理を始めて7年後にそこの森に姿を見せたのです。その地域では数羽がずっと生き残っていたに違いなく、害獣管理により繁殖が可能になったのです。

ミドリイワサザイは南島のカンタベリー地方のタルボットの森でも再び見られるようになり、それはエリマキミツスイ(現地名:ツイ)も同様です。これは「タルボット森林ワーキング・グループ」のボランティアの努力のお蔭です。首都ウェリントンでは住民は幸いにもカカ(オウムの1種:絶滅危惧ⅠB類)を見ることが出来ます。本種は今生きている人の記憶の中では、市内で見られたことはありません。それらの鳥は害獣のいない郊外のカオリのジーランディア・エコサンクチュアリから飛来してきたものです。

南島カンタベリー地方のタルボットの森林で再び見られるようなったエリマキミツスイ
写真提供: © Craig McKenzie

すべての害獣管理と復元プロジェクトが象徴的な種の復活につながるわけではありませんが、例えばクレマチスの花のようにどのプロジェクトも前兆があるでしょう。フクロネズミ駆除のボランティアのおかげで、今ではクレマチスを楽しむ人たちがマンガファイから車でラングス・ビーチにやって来るのです。

私たちが殺した害獣は、そうでなければ彼らに食べられてしまった葉、卵や甲虫がそれだけ少なくて済み、より多くの花、オウギビタキや昆虫が栄えることを意味します。またこれらの目に見える兆候だけでなく、健康な森がもたらすのは土壌浸食の軽減、綺麗な沢の水、温暖化が進む世界での究極的な贈り物であるより多くの炭素貯蔵です。

 

報告者:Ann Graeme

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