島が最大の絶滅の場になっている理由が明らかに

成功例:チャンネル諸島のアナカパ島では外来種のネズミの駆除に成功した。写真提供:© Abe Borker

最近の調査で、絶滅の危険性の高い脊椎動物のほぼ半数が島嶼に生息していることが分かりました。そして、その3分の2が外来種が確認されている島でした。この発見により、保護活動が最も必要な場所を簡単に絞りこむことができるようになったのです。ゴフ島のように外来種のネズミを駆除した場所では、一気に6種の絶滅危惧種を救うことが出来ました。

10月初め、保護活動団体が今後何年にもわたり活用できる論文がScientific Advances誌に発表されました。Island Conservationが主導役としてバードライフや世界中のそのパートナー団体と共に、「絶滅危惧のある島嶼の生物多様性データベース」を解析しました。この種のものとしては初めての同データベースには、IUCNのレッドリストに記載されている絶滅危惧ⅠA類およびⅠB類の1,189種の脊椎動物が世界中のどの島嶼に生息しているかが収められています。

バードライフの科学部チーフで論文共著者のStuart Butchart博士は同論文を「島嶼に生息する絶滅危惧種の分布に関する最も分かりやすい評価」と評しています。この結果の価値は計り知れません。絶滅危惧度が高い陸生脊椎動物の41%が島嶼に生息し、どの島にそれらが最も集中しているかが分かったのです。諺の通り、「知は力なり」なのです。

「絶滅危惧のある島嶼の生物多様性データベース」のウェブサイトのスクリーンショット

「絶滅を防ぐチャンスが今、目の前にあるのです。危機にある島嶼の生物多様性に関する知識の基盤があるからこそ、より効率的に情報に基づいた保護活動が可能となるのです。これこそが今、地球が必要としているものです。」とアイランド・コンサーベーションの保護生物学者で論文の筆頭著者のDena Spatz博士は評しています。

これらの種を守る最善の方法とはいったい何なのでしょうか? 実は、このデータベースから、解決策に関する重大な示唆を得ることができました。絶滅危惧度の高い種をマッピングするとともに、ネズミやネコなど、絶滅危惧種を害する外来種の情報も収められているのです。そして実際、絶滅危惧種と外来種の分布は大きく重なっており、実に60%の島で外来種の影響が見られます。事実、この論文では、外来種を駆除することで絶滅危惧種の95%に良い影響があったことが推測されています。

外来種の影響により、ガラパゴス諸島のサンタ・マリア島(Floreana Island)には、島名の由来になったチャールズマネシツグミ(Floreana Mockingbird)はもはや生息していません。
写真提供: © Island Conservation

島嶼は常に生物が生きてゆくためには不安定な場所でした。島は世界の陸地面積の5.3%を占めるにすぎませんが、16世紀以降に絶滅が記録された種のうち、61%が島嶼に生息していました。皆さんもモーリシャス諸島のドードーの悲劇をご存知だと思いますが、クック諸島マウケ島のライアテカラスモドキについてはご存知ですか?北マリアナ諸島のパガンヨシキリについてはどうですか?これらの島嶼性の種の絶滅の44%が外来種が原因であることが分かっています(ライアテカラスモドキ[英名:Mysterious Starling]の絶滅のミステリーは外来種のネズミによるものでした)。

多くの島の在来種の多くは、本土から離れているために在来の捕食者が存在しない状況で進化しました。そのため、外来種が島に侵入した際、自らを守る術を持ち合わせていないのです。チャールズマネシツグミがそうした悲劇の一例です。19世紀に人間の入植が始まってから数十年を待たずして、本種はガラパゴス諸島のサンタ・マリア島から外来のげっ歯類と野良猫により姿を消してしまいました。数百羽が近隣の外来種の居ない二つの小島に残っていますが、種名の由来となったサンタ・マリア島には1羽も生き残っていません(訳注:チャールズマネシツグミの英名はFloreana Mockingbirdであり、サンタ・マリア島の英名Floreana Islandに由来する)。

チャールズマネシツグミは外来のげっ歯類と野良猫によりその種名の由来となった島から姿を消してしまいました。
写真提供: © Island Conservation / Paula Castano

しかしまだ希望はあります。外来種の島への移入を未然に防ぐべく、外来種がまだ入ってきていない島ではバイオセキュリティ対策が取られています。侵入者を完全に駆除するに成功した島もあります。カリフォルニアのチャンネル諸島のアナカパ島で外来種のネズミを完全に駆除したところ、絶滅危惧Ⅱ類のスクリップスウミスズメの孵化成功率は20%から90%に急上昇しました。絶滅危惧ⅠB類のススイロウミツバメも最近この島で初めて発見されました。

アナカパ島ではネズミの駆除によりScripp’s Murreletの個体数が劇的に増加しました。
写真提供: © Shaye Wolf

「優先度の高い島嶼の外来種管理により、生物多様性の著しい減少を劇的に減らすことが出来るのです。」とISPRAの野生生物サービスのヘッドで、IUCNのSCC外来種専門家グループの会長で、論文の共著者のPiero Genovesiは言っています。

ゴフ島の外来ネズミの駆除は絶滅危惧種の鳥6種の保全につながる

論文では保護活動が特別に大きな違いを生みだした島嶼についても触れています。大西洋上の英国の海外領ゴフ島は数百万羽の鳥が繁殖する場所です。6種の絶滅危惧種が生息しており、その一つがゴウワタリアホウドリです。けれどもこの島は同時に外来のイエネズミの侵略を受けている場所でもあり、毎年海鳥の雛を襲い、海鳥の生存を脅かしています。ネズミの駆除は一度で6種全てのためになるのです。

次のステップは明白です。「このデータベースにより、国際的な協力のもと集められた重要な生物多様性に関する情報を政府やNGOに提供し、それをもとに種を絶滅から守るための啓発や資金獲得、現地での活動を活性化することができます。」とSpatz博士は結びました。

ネズミの駆除後、絶滅が危惧されているハイイロウミツバメの繁殖がアナカパ島で初めて確認されました。
写真提供: © Annie Schmidt

データベースによる発見と、駆除しやすい外来種の情報を統合する、国際的な取り組みが進行中です。完成すれば、どの島から活動を始めるべきかをピンポイントで示してくれるでしょう。

私たちはゴフ島が第二のアナカパ島となり、さらに第三、第四と続いていくことを期待しています。

報告者: Jessica Law

日時: 2017年10月25日

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