鳥にやさしい再生可能エネルギー: エネルギー・タスクフォースのご紹介

エネルギー・タスクフォースは、フランス、ロレーヌ地方に建てられた風車をはじめ、同様の風車の建設の影響を最小限に抑えるために尽力しています。 写真提供: © Ppictures/Shutterstock

新しい技術と国際的タスクフォースにより、再生可能エネルギーがかつてないほど鳥にやさしいものになるかもしれません。

渡り鳥は人間活動から様々な影響を受けています。その中には環境にやさしくなろうとする取り組みが原因で引き起こされてしまうものもあります。風車や他のクリーン・エネルギー施設での鳥の死は、再生可能エネルギー発電に反対する人たちの流言のように思えるかも知れません。しかし、猛禽類などの鳥にとっては、発電設備の近くを通ることは危険なことなのです。

AP通信社は風車により死んだ鳥の数を米国だけで年間50万羽に達するとしています。風車はコウモリ類にも危険です。回転翼の先端は時速約320㎞で動いているので、空気圧の変化によって気圧障害が生じるのです。けれども風車だけが悪いわけではありません。スーダンではかつて数千羽ものエジプトハゲワシ(絶滅危惧ⅠB類)が送電線で感電死しました。幸い、この送電線はこの地域のバードライフ・パートナーたちの活動によって2014年に送電が中止されました。

人間の活動によって危機にさらされているエジプトハゲワシ
写真提供: © Torsten Prohl

多くの場合、問題は発電設備の設置場所にあります。不適切な場所に建設されると、多くの鳥がこうした施設に衝突したり、良好な生息地から追いやられたり、渡りのルートを妨害されたりする可能性があります。鳥による停電はビジネス上の損失になるだけでなく、地元コミュニティの不満につながります。より小さなレベルでは、風車や電線が特定の鳥にとって重要な生息地を劣化させたり、群を分断して大きな群の形成を妨害したりすることにつながります。一部の国では、新たに電力開発を申請する際にはコウモリと鳥のアセスメントが法律で定められていますが、これはあくまで一部の限られた国での話です。

これらの問題は、2014年の第11回CMS会議(移動性野生動物種の保全に関する条約)においても認識されました。その結果、「エネルギー・タスクフォース」の開催決議が採択されました。このタスクフォースは、エネルギー関連の開発による渡り鳥への悪影響を避けるためのツールやガイドライン、提言の作成などを行います。

このタスクフォースは現在アフリカ、欧州、中東に広がっており、今後世界規模で展開する予定です。

「タスクフォースの強みはその多様性にあります。」(バードライフのタスクフォース・コーディネーターのEdward Perry )。「タスクフォースは環境・エネルギー省、自然保護団体、国際金融機関、エネルギー業界が協同して持続可能なエネルギー開発の実用的な解決策を定め、共有し、規模を拡大させる場です。」

「これは国際的な問題です。そのため国際的組織であるバードライフは、この問題に取り組む上で重要な立場にいます。私たちのパートナーの世界的なネットワークにより、発電設備の設置によるハゲワシや他の帆翔性渡り鳥への累積的影響を減らす上で、フライウェイ全体での活動が可能となるのです。」(バードライフの世界政策チームのKatja Garson )。

「風車による鳥への悪影響を防ぐ最善で最も安価な方法は、脆弱な種や主な渡りのルートから離れた場所に風車を建設することです。バードライフは、風車設置を回避すべき場所を特定するため、鳥の脆弱性マップなどの空間ツールの開発を主導してきました。」(バードライフの上級地球科学オフィサーでタスクフォースのメンバーでもあるTris Allinson )。

最初の脆弱性マップは、スコットランドおよびイングランド地方の地図で、RSPB(英国のパートナー)によって作られました。その後、世界中の多くのバードライフ・パートナーがブルガリア、南アフリカ、アイルランドなどをはじめとする国別のツールを作成しました。国別のパートナーと協力し、バードライフは更に南ヨーロッパ、中東、北アフリカに対応する「帆翔鳥の脆弱性マッピング用ツール」も開発しました。

風力発電設備の建設を回避すべき場所を示すバードライフの’帆翔鳥の脆弱性マッピング用ツール’

風力発電施設が、危険な場所にすでに建設されてしまっている場合、衝突を最小化するための工夫を施すことが出来ます。具体的には、鳥の侵入を探知するための監視員、レーダー、カメラの利用だけでなく、「オンデマンドの一時停止」として知られる技術の活用です。これは、鳥の接近に合わせて風車を止める技術です。鳥の感電死防止もタスクフォースの範疇であり、送電線の地下埋設や、鳥を迂回させるための標識の設置、ケーブル同士の間隔を広げたり鳥がアースをとれる設備を設置したりといった工夫などを提言しています。

知識が不足している際には、タスクフォースは調査のほか、関連機関での情報や実践例の共有を推奨しています。現時点で課題は山積ですが、発電と配電の方法を変える試みにおいて、タスクフォースの存在は鳥の保護に通じる確かな一歩なのです。

報告者: Ian Evenden

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