ブラジルの国立公園の未来を脅かすスキャンダル

ブラジル、ラゴア・ド・ペイシェの農場 写真提供: © Lisandro Luis Trarbach

多数のブラジルの保護区を経済成長を理由に官報から外すという衝撃的なスキャンダルが公然と計画されています。

ブラジル南部のラゴア・ド・ペイシェ国立公園は、海、川、湖によって作られました。36,000ヘクタールを超える面積があり、淡水や塩水の潟湖から草原、氾濫原、沼地、砂丘に至るまで多用で独特な光景がモザイク状に広がっています。大西洋の風が毎年、北アメリカと南米のパタゴニアの間を渡る数万羽の渡り鳥を迎え入れます。

春の間はエビの自然の養育場になり、夏には国立公園当局との間で合意された漁獲割当量に従い、近隣の村民が一定量だけを捕獲します。冬になると海流によって塩水が入り込み、それにより作られた独特な生態系は、コオバシギコモンシギ(共に準絶滅危惧種)などのシギ・チドリ類が好む環境となります。シベリアやアラスカの先端から渡ってきたコモンシギは、ウルグアイやアルゼンチンと並ぶ越冬地となっているラゴア・ド・ペイシェ国立公園の原野にやって来ます。研究者の調査によれば国立公園内で毎年150~200日を過ごし、そのうちの60%が翌年にも戻って来ます。

彼らの帰還は牛の放牧で維持される草原の草の高さ次第です。そのためSAVE Brasil(ブラジルのバードライフ・パートナー)と協力者は、草原を保全する活動やコモンシギの個体数調査、などを行ってきました。

コモンシギ
写真提供: © Eloir da Silva

大西洋の渡り鳥にとっての重要性を考えれば、IBA(鳥を指標とする重要生態環境)かつラムサール登録湿地、ユネスコ生物圏保護区、国際的に重要な西半球シギ・チドリ保護ネットワーク・サイトであるこの地が1986年に国立公園に指定されたのは驚くことではありません。こうした確証があるにもかかわらず、ブラジル政府がこの場所に国立公園指定の適切性について別の考えを持ちつつあるのは何故でしょうか?

公園の40%を持つ個人の土地所有者が突然、事実上法的保護が皆無となる多目的利用エリアへの変更を推し進め始めています。このエリアで以前に見られた開発計画を考えると、これは不審な動きです。

「ラゴア・ド・ペイシェはブラジルのシギ・チドリ類にとって最も重要な2ヶ所のうちの一つで、南米大陸南部の大西洋岸では最も重要な地域です。ブラジルの法律では、国立公園になるための条件の全てをクリアしています。この地域の保全カテゴリーを下げるなど言語道断です。」とSAVE Brasil のCEOのPedro Develeyは言いました。

ラゴア・ド・ペイシェ公園の潟湖システム
写真提供: © Jackson Muller

2000年代の初めに公園の南側に鉱山開発計画が発表されました。この時は検察が開発を阻止しましたが、プロジェクトは最近になって復活し、3つの環境許可のうちの1つを取得することに成功しました。同時に19,000ヘクタールの発電施設建設が計画されており、現在環境影響評価が行われています。

2000年代の初めに公園の南側に鉱山開発計画が発表されました。この時は検察が開発を阻止しましたが、プロジェクトは最近になって復活し、3つの環境許可のうちの1つを取得することに成功しました。同時に19,000ヘクタールの発電施設建設が計画されており、現在環境影響評価が行われています。

前例のない政治と経済の混乱の中で、ブラジル政府は環境法を弱める方向にがっかりするようなステップを取りつつあります。ラゴア・ド・ペイシェは影響を受ける多くの公園の中の一つに過ぎないのです。

この件は、ブラジルは世界で最も生物多様性の豊かな国であることから、同国最大の(もしくは世界最大の)環境政策の後退として、国内で広範囲の非難が起こっています。

つい先月、ブラジル政府は、アマゾンにあるデンマークよりも広い「銅及および類似鉱物の国立保護区」を廃止しました。動機はマンガン、鉄、金および他の金属の採掘を外国企業に認めるためです。政府は先住民と環境の保護が失われることはないと請け負っていますが、研究者の間ではこれらの採鉱プロジェクトは壊滅的なものになるだろうという意見で一致しています。

Jamanxim 国立公園
写真提供: © Werick França Silva

そして、採鉱作業による脅威を受けるのは公園だけではないでしょう。Michel Temer大統領はよく確立している保護区のシステムを破壊し、規制に手を加えて採鉱活動からの財政的補償を変更する計画を立てているからです。5つの州の保護区の地位を剥奪あるいは低下させることを命令する法案が既に議会に出されました。これによりブラジルの保護区全体の10%に影響が及び、多くの場合、違法な伐採、採鉱あるいは土地の侵略につながります。

更に、EIA(環境影響評価)法の改定も現在討議されています。EIAは環境に悪影響を与えるほとんどの開発を遅らせ、中止させるためのプロセスですので、これは国家規模の大惨事となる可能性があります。

「強い圧力によって、自然資源は無限にあると思っていた時代に逆戻りする恐れが生じています。」と新しい法案の発表について検事総長のLeandro Mitidieriは言いました。

もう一つのIBAであるJamanxim国有林も最近ニュースになりました。アマゾンの森林を脅かす、いわゆる「森林破壊のアーチ」にあり、公園内の保護区の57%がその保全地位を剥ぎ取られました。Jamanxim国立公園と境を接するAltamira 国有林の中でも地方自治体の一つが錫鉱石の採鉱を違法に認めました。幸いにここではEIAを全く行わなかったため環境局により罰金が科されて中止に至りました。

Jamanxim国有林の降格に続き、ラゴア・ド・ペイシェの行く末が次の岐路となる可能性があると環境保護団体や科学者は懸念しています。これほど重要な国立公園を格下げできたなら、連邦政府に残りの環境劣化計画を進める自信につながるからです。SAVE Brasil とバードライフは今後も連邦環境機関を支援する戦いを続け、ラゴア・ド・ペイシェやその他の全ての保護区が将来も保全されるように活動を行って行きます。

 

報告者: Irene Lorenzo

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