キプロスの野生生物を守る「管理者」の仕事

ドロウシアでのボランティア活動 写真提供: © BirdLife Cyprus

キプロスの最も貴重な生息地を守るために、ボランティア達は毎朝パトロールしています。これは彼らの話です。

ラマカ塩湖は、多くの石棺や絵のように美しい海辺で有名な古代の都市ラマカの南を流れる4つの水域の複合体です。「ラマカ塩湖はキプロスで最も重要な二つの湿地のうちの一つで、私の故郷のランドマークでもあります。」とIoannaは言います。ラマカ市は多くの観光客を引き寄せ、観光客は素晴らしい景色や文化遺産を楽しみ、越冬するフラミンゴの大群を見るために、この湖沼群を訪れます。冬から春にかけて湖はクロヅルニシツバメチドリなど地中海フライウェイを飛ぶ多くの渡り鳥の重要な集結地になります。このため湖は、ラムサール条約の国際的に重要な湿地、IBA(鳥を指標とする重要生息環境)、ナチュラ2000サイトなど幾つかの分類や保全の対象になっています。これでラナカの野生生物を、人によるかく乱から安全に守るためには十分なはずですね?

違うのです。Ioannaが2014年に「IBAの管理者」になってから、2ヶ月に一度は湖に影響を与える破壊的活動を報告しなければなりませんでした。彼女は、ラマカの保全水域の上空をフラミンゴが最も集まる時期にカイトボードをする人から、湖をまたぐパイプラインの破壊的建設や固有植物を一掃するブルドーザーまでのすべてを見ています。彼女は新たな問題を見つけるとバードライフ・キプロスに報告し、そこから問題が大きくなる前に解決する公式のルートに進みます。「ある日何人かの人が、シロチドリの営巣地の近くの海岸をオートバイで競争していました。すぐに私は彼らがこの場所で行われる大きなイベントの準備をしていたことを知りました。私は海岸が保全地区であることを彼らに告げ、バードライフ・キプロスにも知らせました。」とIoannaは言いました。

バードライフ・キプロス(同国のパートナー)は、34のIBAがある31万ヘクタールにおよぶ島に9人の常勤スタッフを有しています。この人数では世界で一番のやる気があっても、これらのサイト全てを常に監視することはできません。これが「IBA管理者」が貴重な理由です。現在21人の管理者が島全体にいて、18のIBAでの生息地や野生生物に対する脅威を報告しています。個々の「管理者」はそれぞれの地元のIBAを担当しており、定期的に見回りをし、新たな脅威が起きればその度に直ちに対応します。

行政当局でさえも無責任なレジャーや急速な開発行為を優先していることが多い国では、環境に関する早期警報システムとしてこのネットワークが、どれ程重要かをバードライフ・キプロスの前CEOのClairie Papazoglouは高く評価しています。「「管理者」はバードライフ・キプロスが知らない、あるいは分かった時には手を打つには遅すぎるような脅威を度々発見しています」。Papazoglouはこのプログラムの重要性を強く信じているので、彼女や彼女の仲間は時間のある時には「IBA管理者」をやっています。彼女たちは多くの成功を収めていますが、それでも不満なのはこうした行為を未然に防ぐことができないことです。「IBA管理者」として初めての調査で彼女は、地元山地のIBAが新しい開発により大打撃を受けていたことを知り驚きました。

オオフラミンゴ
写真提供: © Stavros Christodoulides

違法または計画が不十分なピクニック用地は、自然を壊す原因になる恐れがあります。通常このような場所ではごみの回収が行われないため、すぐに汚染されます。ピクニックをしている人々は野生生物を妨害し、彼らの行うバーベキューがキプロスの乾燥した脆弱な森で山火事を起こす恐れがあるのです。このようなことは珍しくはありません。PapazoglouはキプロスのIBAの少なくとも半分は、常にこの種の問題に直面しており、バードライフ・キプロスの活動にはこれに対応することが必要とされています。歴史的にバードライフ・キプロスは、毎年の鳥類調査を担当する愛鳥ボランティアの小さいけれども貴重なネットワークを持っていました。キプロス生まれの鳥類学者は稀ですが、島の自然を守るための彼らの使命を支援するには、彼らがもっと広範囲で活動できるような新たなアプローチが必要でした。2014年に「キプロスのIBA」が発行され、同時に欧州経済領域(EEA)からの資金を使った「IBA管理者」プロジェクトがスタートしました。多くの人が直ちにボランティアに加わりました。新しいボランティアにはあらゆる職業の人が集まりましたが、ほとんどの人の動機は鳥への愛というよりも地元のサイトを守ることへの全般的関心でした。

このプログラムは、人々が地元の環境に対して責任を持つことを可能にし、彼らの懸念をダイナミックで、建設的で、力を与える方向に向かわせました。その手始めにバードライフ・キプロスは、ボランティアが新しい任務を行うための重要な資料、訓練や支援などを提供しました。それ以後、バードライフ・キプロスはMAVA基金からの資金によりFacebookのグループを立ち上げ、毎年セミナーを開催して「管理者」との緊密な関係を維持するために熱心に活動しました。彼らは「管理者」を地元のIBAにおける問題の進展に関する情報を与え続けるようにもしました。このプログラムに加わる前はIoannaもバードウォッチャーではありませんでしたが、地元の湖を保全することへの強い望みを感じ、その保全に直接加わることのできる機会を得ました。

 

報告者: Louise Jasper

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