新刊!“保護を必要とする欧州の鳥”

バードライフは先日イタリアのパルマで、最新刊の「保護を必要とする欧州の鳥」を発表しました。このハンドブックは欧州各国のそれぞれの鳥の保護責任を明確にするための重要な役割を果たすことになるでしょうでしょう。

「鳥には国境がない。」とよく言われており、欧州では特にしっくりくる、とバードライフの最新刊「保護を必要とする欧州の鳥」の序文でIan Burfield博士とAnna Stanevaが記述しています。約540種の野鳥が生息する、およそ50の国と地域で構成される大陸において、個々の鳥を保護するためにどの国が主な責任を負うべきかを明らかにするのは、とても困難な課題です。

しかし、地域の資源が限られているなかで、保護活動家が大陸規模での生物多様性の喪失に効果的に取り組むためには、責任問題が政府にとっての重要な情報になります。ある種が特定の国の固有種の場合には、簡単に対処することができるでしょう。例えば、小さな島国キプロス共和国には地球上に生息する全てのキプロスムシクイが生息しています。しかし、このようなケースは稀です。他の動物と比較すると多くの欧州の鳥類は、渡りの習性と生息地の分布により大陸全体に広がっています。

その結果、人々は不安を抱いてしまいます。欧州の全ての野鳥には、全般的な保護を行うべき素晴らしい法律がありますが、国ごとに知識のギャップがあるため、IUCNのレッドリストで‘絶滅危惧Ⅱ類’、‘準絶滅危惧種’、‘絶滅危惧ⅠB類’などで示されているSPEC(保護懸念のある欧州の種)の増加数の優先順位付けを行っていることに対して責任をとる国や政府機関がいなくなる危険性があります。

このハンドブックは、そのような知識のギャップをなくすことを目的にしています。国ごとに主要な鳥の個体数データを示すことにより、「保護を必要とする欧州の鳥」はすべての欧州の国にとって、その保護責任を明確にし、自然保護予算を最善に割り振りするために不可欠な「頼りになる」ハンドブックになるでしょう。

キプロスムシクイ 写真提供: Ⓒ Daniele Occhiato

差し迫った国ごとの優先順位

5月20日のパルマにおけるこの本の出版記念式典で、LIPU/BirdLife Italy(イタリアのパートナー)の自然保護ディレクターClaudio Celadaは、この出版により「幾つかの差し迫った国別の優先事項」が浮き彫りになったと述べました。例えば、ハイイロイワシャコを含めイタリアでは5種の絶滅危惧種が今でも狩猟の対象になっていることが強調されたことが挙げられます。イタリアには本種の地球上の個体数の4分の1が生息することから、これは特に憂慮すべきことといえます。同様にアイスランドは欧州で繁殖するコシジロウミツバメ、ニシツノメドリ、オオハシウミガラスの個体数の45~80%の生息地になっており、何種かの世界的に危惧される海鳥と渉禽類にとって非常に重要な場所です。

ニシツノメドリ
写真提供: Ⓒ Michael Finn

最後までやり抜く

鳥類の種をその分布域全体で保護することの重要性も叫ばれています。ハンガリーは欧州で繁殖するセーカーハヤブサの55%が生息しているため、彼らにとって欧州の拠点であることは明らかです。しかし、この世界的に危惧される猛禽の種を保護するためには、それなりに多くの個体数がいるスロバキア(7%)、セルビア(6%)、オーストリア(5%)、チェコ共和国やモルドヴァを支援する活動も必要です。

セーカーハヤブサ
写真提供: ⒸBohuš Číčel

小さな国の大きな責任

いくつかの国は大きな責任を負っています。北東大西洋の18の岩の島からなるデンマーク領のフェロー諸島は、面積は僅か1,396㎢(欧州の0.01%)です。しかし、その小ささと大陸から隔絶されているにもかかわらず、欧州のニシツノメドリの個体数の10%を有する非常に重要な海鳥の繁殖コロニーがあります。同様にアゼルバイジャンの陸地面積は僅か86,000㎢ですが、それにもかかわらず水鳥の越冬地として重要で、その中には絶滅危惧Ⅱ類のウスユキガモ、絶滅危惧ⅠB類のカリガネとカオジロオタテガモや激減するアカツクシガモの欧州で越冬する個体の70~90%が生息しています。

カリガネ
写真提供: Ⓒ Jari-Peltomäki

生物多様性のホットスポット

「保護を必要とする欧州の鳥」の中で取り上げられている国ごとのアプローチは、欧州の生物多様性のホットスポットを明示するのにも役立ちます。例えばジョージアの面積は欧州の0.6%に過ぎませんが、生物多様性の宝庫で、地理的位置や気候と地形の変化のおかげで、地域固有種のコーカサスクロライチョウの地球上に生息する個体数の大半が含まれていることをこのハンドブックで示しています。

一方、スペインは野鳥愛好家にとっての天国だと示されています。同国はカナリー諸島とバレアレス諸島に生息する多くの固有種を有していて、SPEC(保護懸念のある欧州の種)にとって非常に重要な地域です。この地域には欧州で最も希少なグランカナリーアオアトリと、欧州で最も絶滅が危惧されているⅠA類のヨーロッパミズナギドリが生息しています。スペイン本土もこれに劣らず、実質的にイベリアカタシロワシとイベリアアオゲラの地球上に生息する全個体数を有し、またハゲワシにとって欧州の中では最重要国でもあります。

ヨーロッパミズナギドリ
写真提供: Ⓒ Ricardo Guerreiro

 

報告者: Gui-Xi Young

原文はこちら

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