CEPFによる東部アフリカ低山帯のホットスポット保全がアラビア半島で始まる

サウジアラビアの東部アフリカ低山帯の主要生物多様性地域の一つ、
Raydah傾斜地の棚田と畑
写真提供:Pierre Carret

1月にアブハー(サウジアラビア)のキング・ハーリド大学でサウジ野生生物局が主催した海外からも多数の人が参加したイベントで、クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)は東部アフリカ低山帯の生物多様性ホットスポットを保全する5ヵ年計画に9.8百万米ドルを出資するプランを立ち上げました。対象となるこのホットスポットはサウジアラビアからモザンビーク、ジンバブエに至る自然地域で構成されています。

西部イエメンからサウジアラビア南東部の沿岸に位置するこのホットスポットのアラビア半島部では110種の植物が固有種として知られています。フィンチ類のイエメンヒワなど7種の鳥もこのホットスポットだけに生息しています。またこの地域は渡り鳥にも大切で、推定150万羽のコウノトリと猛禽類がアラビア半島とエチオピアの高地をフライウェイとして利用しています。

「アラビア半島は自然の特性と文化の両面で非常に重要です。私たちは地元の大学、団体や他のパートナーとともに活動して、地域の市民社会グループが行っている自然を守り、生計を改善する活動を支援するための補助金を提供したいと強く願っています。」とCEPFの会長パトリシア・ズリータは言いました。

アラビア半島では生物多様性が伝統的な棚田農業などの農地と緊密に関係しており、このような農業は植物や爬虫類に適した微気候を作り出します。「伝統的な農法の衰退は水資源の持続可能でない利用や都市化と並んで生物多様性に対する脅威の一つになっています。この地方での生物多様性の保全は大切な文化遺産や伝統の保護にもつながるでしょう。」とバードライフの中東ディビジョン地域ディレクターのIbrahim Khaderは言いました。

サウジアラビアとイエメンでは自然資源の保全に関して大きなギャップがあります。サウジアラビアでは保護区の設置や保護活動が活発に進められており、その結果アラビアオリックスを自然環境に戻すなどの成果が出ています。これに対してイエメンでは公式の保護区は6ケ所しかなく、そのうち本土にあるのは3ヶ所だけです。CEPFの戦略は、地域での協力が保護活動を改善し人の幸せにも貢献することを求めています。

「サウジ野生生物局は東部アフリカ低山帯の生物多様性ホットスポットのためのCEPFのポートフォリオ開始を主催することに誇りを持っています。これはサウジアラビアとこの地域独特の生物多様性を守るためのサウジ野生生物局の強い決意の表れです。」と同局役員会会長のBandar bin Saud bin Mohammad Al-Saud王子は言いました。

サウジ野生生物局、イエメン環境省、生物学者、アラビア半島からの他の利害関係者はデータを提供しCEPFの投資戦略作成の手助けをしました。

CEPFはアラビア半島における資金支援の重点をイエメンで活動する市民社会団体の支援に向ける予定です。第1回目の提案募集は昨年9月に行われ、第2回目が間もなく始まります。最新の提案の募集状況や地域内でのイベント情報は東部アフリカ低山帯地域実行チーム(バードライフ、IUCNおよびエチオピア野生生物自然史協会により構成)のフェースブック(www.facebook.com/CEPF.EAM)をご覧ください。

クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)とは: CEPFはフランス開発局、コンサベーション・インターナショナル、EU、地球環境ファシリティ、日本政府、マッカーサー財団および世界銀行による共同イニシアティブです。その基本目標は市民社会が生物多様性を保全を確実に行うことが出来るようにすることにあります。

 

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