若手保護活動家が鳥の世界を変える

若い保護活動家が主導するプロジェクトによって世界の鳥の状況を改善しています。 写真: ノドアカクロサギ 写真提供: © Birdwatch Zambia

今日CLP(保護活動リーダーシップ・プログラム)とバードフェア賞が発表されました。受賞したのは全て若い保護活動家に主導されたイニシアティブです。この記事では彼らのすばらしい活動をご紹介します。

バードライフは二つのプログラムを通じて若い人たちの保護活動を積極的に支援しています。「バードライフ/バードフェア若手保護活動リーダー・プログラム」と「保護活動リーダーシップ・プログラム(CLP」です。2017年に受賞が決まったプロジェクトをご紹介します。

受賞を通じて保護活動チームは専門家の助言を得たり、協力的パートナーシップを構築したりする機会を得るほか、保護プロジェクトの管理に関する2週間の研修会に招待されます。

バードライフ/バードフェア助成金の受賞者はCLP修了生のネットワークに加入できるというメリットがあります。そこには2500人のメンバーがおり、その多くが様々な分野で保護活動を続けています。このネットワークに加わることで、これまで以上に資金獲得や研修の機会が増加します。例えば文章作成や、資金調達、リーダー養成訓練、追加の旅費補助金などがあります。

バードライフ/バードフェア若手保護活動リーダー受賞者

1)ナイジェリアのハゲワシ保全

ナイジェリアでのズキンハゲワシの保護
写真提供: © Nigerian Conservation Foundation

アフリカ全土でハゲワシが激減しており、西アフリカの個体群ではかつての数の99%が失われました。「ナイジェリア自然保護財団」(同国のパートナー)の若手保護活動リーダーのチームがGashaka-Gumti国立公園内でこの減少を食い止めるための活動を行っています。

活動を通じて、彼らはこの「危機にあるIBA」におけるハゲワシや他の猛禽の減少の根本的な原因についてより理解を深めており、また「自然保護サッカー・トーナメント」を通じて周辺のコミュニティに啓蒙活動を行っています。

 

2)ルワンダの湿地の保全

ルワンダ・チームのメンバー
写真提供: © ACNR

ルワンダのAkanyaru川とNyabaronogo川の湿地は保護されていない「危機にあるIBA」で、湿地とその生物多様性の劣化につながる無計画な農地拡大の脅威を受けています。ルワンダ自然保護協会(同国のパートナー)が啓蒙活動や、能力形成、国の保全施策を支援しています。

同チームは二つの湿地の現状をマップ化し、地元のステークホルダーにIBAをモニターする研修会を行い、ルワンダの政策決定者と共同でAkanyaru川とNyabaronogo川の湿地の持続可能な管理に向けた取り組みを進めています。チーム・リーダーのGilbert Micomyizaは「私たちは今回の受賞が若手保護活動家のキャリアを後押しして、ルワンダの2ヶ所の「危機にあるIBA」の持続可能な保全に必ず貢献してくれるものと信じています。」と述べています。

 

3)ノドアカクロサギが位置からやり直す機会

写真: ノドアカクロサギ
写真提供: © Birdwatch Zambia

ノドアカクロサギ(絶滅危惧Ⅱ類)はアフリカ南部の固有種で世界の総個体数は僅か3,000~5,000羽でその大部分がボツワナ共和国のオカバンゴデルタで繁殖します。けれども最近、隣国のザンビアでも巣立ったばかりの若鳥が観察されており、その上この国でも若鳥の混じった大きな群れが数ヶ所でしばしば見られており、隣国のザンビアでも繁殖しているという有望な兆候があります。

そのような場所の一つがBarotse氾濫原(IBAの一つ)で、ここではバードウォッチ・ザンビア(同国のパートナー)の若手保護活動家たちがノドアカクロサギの繁殖を確かめようと奮闘しています。もし上手く行けば彼らの発見はこのサイトにとって重要な意味を持つことになるでしょう。    

2017年度保護活動リーダーシップ・プログラム賞の受賞者

今年は「Global Trees Campaign」と「アルカディアの海洋基金」からの追加資金によりCLP(保護活動リーダーシップ・プログラム)は海洋および植物のプロジェクトを実施しています。

「今年はマーモセットからウミスズメ類まで、インドの東ガーツの水生生態系から大西洋岸森林、ボルネオから黒海に至るまで広い範囲の種や環境にまたがるプロジェクトがあります。受賞者は河川や岩礁、アカテホエザルやオナガサイチョウを探しに行き、潜水ガモ、イルカ、リュウケツジュの生息地に入っていくでしょう。」とCLPの表彰発表で述べました。

以下は鳥類の保護活動の受賞者のみを記します。

 

 

4)ジョージアでのビロードキンクロの保護

ビロードキンクロ♀
写真提供: © Nika Paposhvili

「ジョージア共和国Tabatskuri湖のビロードキンクロ保護プロジェクト」はIUCNのレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類とされており、乱獲、生息地の劣化、密猟による個体数減少の結果この特別な湖でしか見られなくなったビロードキンクロの保全を目指した活動です。

このプロジェクトは本種の分布、個体数、繁殖成功率などの詳細な情報をもとに、ステークホルダーに保全目標の策定を支援します。

 

5)マレーシアでのサイチョウ保護の前進

サイチョウ・チーム
写真提供: © Sanjitpaal Singh

マレーシアでは「ボルネオのサイチョウ保護プロジェクト」によりサイチョウのための巣箱の制作や自然木の洞穴の復元を目指しています。サイチョウ類は樹洞の2次的利用者で、自分で巣穴を作るわけではありません。この活動はキナバタンガン野生生物サンクチュアリで行われる予定で、生息地の復元に貢献するでしょう。

チーム・リーダーのRavinder Kaurは受賞のニュースを聞き、このようなコメントを寄せています。「メールを読んだ時言葉を失いました。言葉代わりにメールを指さしながらチームメートの肩を叩きました。正に私たちにとって最も誇りに思う瞬間でした。自分たちのキャリアとマレーシアのサイチョウ保護を前進させることになるでしょう。」

 

6)クラベリーウミスズメの復活計画

クラベリーウミスズメ
写真提供: © Yuliana Rocío

メキシコでは外来種の哺乳動物が、クラベリーウミスズメ(絶滅危惧Ⅱ類)の繁殖する島で脅威となっており、コロニー崩壊の原因になっているところもあります。このプロジェクトの目的は本種の繁殖状況を評価し、かつて繁殖が見られた島やその可能性のある島に外来哺乳動物が居るかどうかを特定することです。

また外来種の侵入から守るためにバイオセキュリティに注力し、復活計画を立てることにしています。

 

7)絶滅危惧ⅠA類のヘラシギについてより多く知ること

中国の干潟の調査
写真提供: © Chengyi Liu

最後に私たちのヘラシギもCLP賞で支援されます。中国の雷州半島には絶滅危惧ⅠA類のヘラシギの小群が越冬のためにやって来ます。

このプロジェクトの目的は同地域における越冬の生態、分布、個体数に関する知見を得て、ヘラシギへの潜在的リスクを評価し、同時に地元コミュニティに働きかけることです。

 

報告者:Billy Fairburn & Charlotte Klinting

 

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