レソトでの風力発電により地域のハゲワシに絶滅の恐れが

絶滅危惧Ⅱ類のケープシロエリハゲワシなどのハゲワシ類は風力タービンに衝突する高い危険性があります。そのため、風力タービンの設置場所が適切か否かを決定するに際して、衝突リスクに関する適切なアセスメントを伝える必要があります。

バードライフ南アフリカとバードライフ・インターナショナルはレソト王国のレッツェンに建設が計画されている風力発電所により、既に個体数が減りつつあるケープシロエリハゲワシとヒゲワシに深刻な影響を及ぼすことを大変懸念しています。南アフリカ共和国とレソト王国はレソト高地とその周りの崖に生息するヒゲワシとケープシロエリハゲワシの個体群を保護する責任を持っています。

パワーネット開発会社はドラケンスバーグ北東部の崖上のLetšeng-La-Terae付近に42機の風力タービン(1基のキャパシティが850kw)の建設を計画しています。このレッツェン風力発電所に関する環境評価アセスメント(EIA)は現在その最終段階にあります。高名な鳥類学者アンドリュー・ジェンキンス博士により集められた鳥類相報告書によれば、たとえ緩和策が講じられても、このプロジェクトによる特殊で敏感な鳥類相への影響は非常に大きいと予想され、同プロジェクトは持続可能なものではないと述べています。

アフリカ南部では風力発電は非常に新しいものですが、世界の他の場所で不適切な場所に設置された風力タービンは鳥の個体群に重大な影響を及ぼしてきました。影響には生息地の喪失、撹乱、タービンの羽根への衝突死などが含まれます。たとえば、ノルウェイのスモラ島の風力発電所は地元のオジロワシの個体数を19ペアから1ペア(95%)に減少させる原因となりました。

このような壊滅的影響は風力発電所そのものだけが原因で起きたわけではありません。「風力発電所の設置場所を考慮することが鳥への影響を最小化する鍵なのです。」とバードライフ・南アフリカの鳥と再生可能エネルギー・マネージャーのサマンサ・ラルストンは言っています。何よりもタービンを、大型猛禽類などの衝突を起こしやすい鳥が度々利用するエリアから十分に距離を取った場所に設置するべきなのです。

衝突するハゲワシには政治的な境界線を見ることは出来ない

ハゲワシは環境的、経済的、文化的、美的な重要な役割を果たしています。彼らは死肉を食べる動物で、廃棄物や死骸を処理することにより他の病気を媒介する動物の個体数をコントロールします。これにより彼らは人や家畜、野生生物の健康を守る助けをするのです。

不幸なことにハゲワシは特にタービンの羽根に衝突を起こしやすい鳥のようです。欧州では風力発電所にシロエリハゲワシが高い率で衝突したのが観察されており、特にスペインのタリファでこれが顕著です。シロエリハゲワシはケープシロエリハゲワシの近縁種です。タリファでの最近のデータでは1台のタービンにつき年間で0.22羽のハゲワシが死んだものと推定されています。この率は緩和策が導入されてから半減しましたが、それでも10台のタービンにつき少なくとも毎年1羽のハゲワシが衝突死しているのです。

レッツェンに計画されている風力発電所はヒゲワシとケープシロエリハゲワシの両方にとって重要な環境に設置されます。南アフリカではヒゲワシは絶滅危惧ⅠB類、ケープシロエリハゲワシは絶滅危惧Ⅱ類に定められています。鳥には国境は見えず、両種共南アフリカとレソトに分布しています。レソトでこれ以上個体数の減少が起きれば南アフリカでのハゲワシの生存率に大きく影響するでしょう。個体数モデルを使って科学者は成鳥の死が僅かに増えるだけで、この長命で繁殖の遅い鳥の急激な個体数減少あるいは地域での絶滅の原因になる可能性を示しました。「バードライフ南アフリカは欧州や北アメリカのパートナーから不適切な場所に設置された風力発電所がハゲワシやワシ類の大きな死亡原因になることを学びました。」とバードライフ南アフリカのCEOマーク・アンダーソンは言いました。「この理由で、私たちはヒゲワシ、ケープシロエリハゲワシ、その他の南アフリカで絶滅が危惧される鳥に重大な影響を与えると考えられる場所での風力発電所の建設に強く反対します。」

しっかりとした持続可能な開発が話し合われねばならない

バードライフ南アフリカはクリーン・エネルギーへの移行の必要性は完全に承知しており、南アフリカでの再生可能エネルギー・インフラの責任を持った開発を支持しています。それゆえ、バードライフ南アフリカは持続可能な開発を提供しつつ鳥や環境への影響を最小限に留めるための風力発電所の適切な場所を特定するために、風力発電業者と共同で活動するよう促しています。たとえば、風力発電所の場所を定める前に‘戦略的環境アセスメント’が行われるべきですが、それは環境的に影響を受けやすいことが知られている地域を避けることが出来るからです。

バードライフ・インターナショナルのアフリカ担当地域ディレクターのJulius Arinaitwe博士は、開発は必要ですが、環境に十分注意を払ったやり方で進めねばならないと言っています。「開発は良好な生態系と生物多様性を支えるものでなければなりません。今私たちの行う選択が将来のアフリカの発展にマイナスの影響を及ぼすことがあってはなりません。」と彼は言いました。

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