可愛い鳴き声に抵抗せよ

チョウゲンボウの雛 写真提供: © Anna Kogut

雛が地面に居るのを見たらどうしたらよいでしょう?助けてあげたいと思う気持ちに抗うのは困難ですたいていの人は、そのままにすべき時にも手をさしのべてしまいます。

バードライフの「春は生き生き」プロジェクトで「雛を持ち帰ってはいけません」を今シーズンのテーマに掲げ、欧州、中央アジア、アフリカ全土の子供や大人を対象に啓蒙活動を行っています。

たった1羽で、助けもなく、小さく、寒そうで、不格好で、ふわふわで・・・。庭の地面に飛べない雛を見ると多くの人はいてもたってもいられなくなるでしょう。雛はどうしてここにいるのだろうか?親鳥はどこに居るのだろう?孤児なのだろうか?巣から落ちたのだろうか?怪我をしているのだろうか?ピーピー鳴いて助けを求めているのではないだろうか?私たちは如何ともしがたい衝動に駆られます。助けなければ・・・、何かしなければ・・・。

けれども、立ち止まって、考えてください。雛に手を差し伸べるのが最善のことでしょうか?小さな行動が保護活動では大きな違いをもたらしますが、時には私たちの行為が有害になることがあります。特に私たちの「可愛い」という気持ちが判断を鈍らせることがあります。自分では良いことをしようと思ったかも知れませんが、雛を持ち去ることは悪いことで、自然を混乱させ、雛に悪影響を及ぼす可能性すらあるのです。

自然は時に厳しいものです。覚えておきたいのは、鳴禽類の若鳥が最初の一年を生き残るのは僅か30%という、生まれながらに厳しい状況に直面しているということです。けれどもこれは最も強いものが生き残るという自然の仕組みであり、生き残った強者には十分な資源が残されるということです。そして、雛を家で育てるのは容易ではありません。世話、絆、愛情に満ちたすばらしい話につながるとお考えかも知れませんが(事実稀にそうなることもある)、実際には野鳥を「ペット」にしているのであり(これは多くの場合違法である)、雛を再度自然に還しても、その鳥は親鳥から重要な生きる術を学んでいないことになるのです。

ではどうすれば良いのでしょうか?

最初に雛が怪我をしているかどうか目で見て判断しなければなりません。生まれたばかりなら雛は動きがぎこちなく、歩くこともできないでしょう。けれどもこれは全く自然なことです。稀には出血していたり、外傷が見られたりすることがあり、その場合は地元の野生動物リハビリテーターか獣医に電話をするのがベストです。

バードライフ・パートナーなどの自然保護団体が怪我をした動物や「見捨てられた」雛を見つけた人からの電話を度々受けますが、ほとんどの場合、このような電話は本来他の所へするべきものです。多くの種のための生息地を守るという彼らの重要な時間を奪うことになるからです。お子さんがちょっと舌を噛んだからと言って歯医者に電話をしないのと同様です。

見つけた雛が絶滅危惧種でなさそうなら、その事実を受け入れましょう。また仮に危惧種で、保護活動家も雛を助けたいと思っても、彼らには雛を救うのではなく、種のための生息地を守るという異なるスキルがあります。

「孵化したばかりの雛」と「巣内雛」、「巣立ち雛」の違いを理解しておきましょう。もしその雛が怪我をしていなければ、「巣立ち雛」の可能性が十分にあります。つまり、自分で巣を離れ(巣立ちし)、成鳥に似た短い羽毛があるけれどもまだ親鳥から餌をもらっている段階のことです。地上に座っているか跳ね回っているでしょうが、まだよく飛べません。しかし親鳥は恐らく近くに居て餌を集めていたり、人には見えなくても注意深く雛を見ていたりするのです。巣立ち雛を自然から引き離すことは生き残るチャンスを減らすことになります。

ですから最善の方法はその場を離れることです。あなたがそばに居ることで親鳥が雛に餌を与えるのを止めているかも知れません。ただし、もし「巣立ち雛」が道路上やペットのネコが飛びかかろうとしているような危険な状態にある時は、最後の手段として親鳥が雛の声を聞ける程度の距離で、危険な場所から数メートル離れた所へ雛を動かすのは良いでしょう。雛が飛んで行くまでネコを家から出さないようにしてください。

見つけた雛が「卵からかえったばかりの雛」(目がまだ開いていない)か「巣内雛」(目は開いており、産毛のような羽毛やチューブ状の羽鞘がある)で、健康状態が良い(親鳥が病気または死にそうな雛を意図的に追い出して、残った雛にだけ給餌することがある)場合で、元の巣が明らかな時には巣に戻さなければなりません。巣が見えない場合、あるいは巣が落ちてしまっている時は乾燥した草を詰めた小さな穴のある(水抜きのため)籠を木に吊るして間に合わせの巣を作り、そこに雛を置くべきです。そうすれば親鳥は雛の世話をするためにそこに戻ってくるはずです。もし2時間以内に親鳥が戻って来なかったり、すぐに間に合わせの巣が作れなかったりした時は地元の専門の野生動物リハビリテーターに電話をかけその助言に従いましょう。

しかしほとんどの場合人は「巣立ち雛」を助けが必要な「巣内雛」と見誤ったり、元の巣か間に合わせの巣に戻せばよい「巣内雛」を持ち去ったりしてしまいます。このような間違いがあまりにも多発するので、ユーラシア・アフリカの「春は生き生き」チームはこれらのメッセージを教師、生徒、子供、親に広めることに加え、鳥の渡りや保護について教育活動を続けています。

難しいことは分かりますが、ほとんどの場合、雛の可愛い鳴き声に抵抗しなければならないということをお分かりいただけたと思います。

 

報告者: Shaun Hurrell

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