アジアの絶滅危惧ⅠA類ハゲワシに初めての回復の兆し

インドとネパールのハゲワシ個体数の減少率は低下したが、個体数は低いままで不安定。
アジアに生息する3種のハゲワシ(ベンガルハゲワシ、インドシロエリハゲワシ、ハシボソハゲワシ)の個体数は獣医薬ジクロフェナクの使用により1990年代初め以来南アジアで99%以上も減り、バードライフは彼らの状態を絶滅危惧ⅠA類に分類しました。インド、パキスタン、ネパールの政府は2006年に獣医が鎮痛剤ジクロフェナクの使用を禁止しました。死ぬ直前にこの薬を与えられたウシやスイギュウの死骸を食べるハゲワシに致死的影響を及ぼすからです。このイニシアティブは地域の絶滅が懸念されるハゲワシを守るためには重要でしたが、今まで、この禁止処置によるハゲワシ減少を反転させる効果については不明でした。

ハゲワシには良いニュースか?
科学雑誌PLos ONEに掲載された新しい研究では、研究者がインドからネパールにかけてのハゲワシの個体数の長期に亘るモニタリングの結果を発表しています。最新の調査では、インドとネパールの両国で3種の絶滅危惧ⅠA類のハゲワシすべての数がここ数年安定していることを示しています。ジクロフェナクが禁止される前はハゲワシの数は年率40%も減少していました。ただし、個体数の安定は明るい話題ですが、少数のハゲワシが残っているだけで、依然として危ない状態です。

ハゲワシの調査はインドでは西部、中部、東部の諸州の1万5千キロの道路沿い、ネパールでは低地の千キロの道路沿いで行われました。これは両国で以前に行われたのと同じルート、同じ方法によるものです。調査はインドではボンベイ自然史協会(BNHS)、ネパールではネパール鳥類保護協会(BCN)が行いました(両協会はバードライフ・パートナー)

ベンガルハゲワシが普通種だったころの1980年代にインドで撮影された写真
写真提供:Goutam Narayan/BNHS

インド:
研究の朱筆者BNHSのVibhu Prakash博士は次のようにコメントしました。「インドで3種の絶滅危惧ⅠA類のハゲワシの減少が遅くなったことは政府がジクロフェナクの使用を禁止したことが狙ったとおりの影響が出てきた最初のサインです。人用のジクロフェナクを獣医が不法に使うことを止めるなど、今後の継続的な努力が残された少数のハゲワシを守るために必要です。」

ネパール:
著者の一人BCNのKhadananda Paudelは次のコメントを行いました。「ネパールとインドでハゲワシの個体数減少スピードが遅くなったことは、政府のジクロフェナク禁止とハゲワシの安全地帯内でのジクロフェナクの使用を止める地域イニシアティブの目指した効果が出た最初の印です。しかし、私たちはこの禁止処置の力を維持し、ネパール全体がハゲワシの安全地帯になるようにすることが必要です。」

共著者のRSPB(英国のパートナー)のリチャード・カスバート博士は言いました。「3種のハゲワシの数がネパールとインドで安定してきたことは本当に励みになります。以前は個体数が毎年ほぼ半分に減っていたのですから。南アジアで今生き残っている少数のハゲワシが確実に復活を始めるにはまだ懸命の努力が必要で、また他の毒性の高い獣医薬がジクロフェナクと同様な害を起こさないようにしなければなりません。」

ハゲワシの個体数減少を反転させる活動は国内の保護活動組織と多数の国のハゲワシ専門家の連合で行われています。‘アジアのハゲワシを絶滅から守る(SAVE)’イニシアティブは、これらの鳥の絶滅を防ぐために調査、アドボカシー、必要とされる活動の実施をコーディネートするために2011年から開始されました。SAVEの第2回年次会議が2012年11月5~6日にネパールのカトマンズで行われ、インド、ネパール、バングラデッシュ、パキスタンの代表が参加しました。

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