バードライフ・ヨーロッパが欧州議会議員に持続可能な漁業政策への改革の策定を要求

タラの平均サイズの比較:
左=1925年  右=2010年

11月6日から8日にかけてバードライフ・ヨーロッパは欧州議会議員(MEP)に対して議会内の展示ブースにより欧州における過剰漁獲の問題に対して認識の向上を図りました。この展示はグリーンピース、Oceana、WWF(世界自然保護基金)、Ocean2012との共同で行ったもので、MEPが12月18日に持続可能な漁業に投票するよう促すことが目的です。

欧州における魚の乱獲問題についてより多くを学ぶために、漁業委員会を代表する多くのMEPとこの問題に関係の深い主な政策決定者がブースを訪れました。乱獲の結果について、ビデオを通して教育的なアニメーションや欧州の漁師とのインタビューの模様が放映されました。乱獲による主な脅威には、全体的な食の安全、社会全体が利益を得ている海洋生態系とそのサービスの枯渇などが含まれます。これらの脅威は特に魚が居なくなれば仕事を失う漁師に言及するものです。

展示された漁師の写真(添付写真)は衝撃的な事実を示しました。1925年にはタラの平均サイズは1メートル以上でした。ところが今では平均サイズが40センチしかありません。これは出来る限り大きなタラを取ろうとしてきた何年にも亘る持続可能でない漁法の結果なのです。海には小さなタラだけが残されたので、続く世代のタラは大きさも個体数もどんどん小さくなって行ったのです。これに加えて、現在のEU法ではタラが繁殖の出来る平均サイズ以下の35cmまでは漁獲が許されています。海洋保全協会(MCS)は半数のメスが卵を産むサイズはおよそ60~70センチだと説明しています。

今漁獲への圧力を弱くしておけば、将来より大きなサイズになって漁業資源が回復できるのですが、88%の魚資源はタラのように生態的限度を超えて捕獲されています。しかし、欧州議会と欧州委員会は委員会の提案から持続可能な漁業を確保する方策を削除する可能性があるのです。反対に議会と委員会は漁獲能力を拡大する意向を表明しています。小規模の漁民を犠牲にして大規模な漁業産業を有利にすることのほかに、危険なのは魚資源が大幅に減少し、その結果漁業部門が崩壊し、高水準で漁民が失業することです。

バードライフ・ヨーロッパは、現在進んでいるEU共通漁業政策(CFP)の改革に従事しており、今委員会提案を検討している欧州議会議員と委員会に対して、来年、欧州および世界の海域での持続可能な漁業と健全な海洋生態系を実現する真の漁業政策の改革を見出すことを要請しています。このことだけが私たちの食の安全と、長期的な漁業部門の存続を保証するでしょう。

 

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