変わりゆく世界と鳥

シマアオジ
写真提供: © Shutterstock

先日私は‘2016年度 BirdNumbers会議’の第1日目の様子や、EBCC (European Bird Census Council: 欧州野鳥センサス協議会)の科学者や欧州全土で野鳥カウントを行った数千人ものボランティアによって集められた膨大なデータから得られた欧州大陸の健全度についてお伝えしました。多くのプレゼンのあった長い一日の終わりに私が最初に思ったのは、EBCCはバードライフと同様に欧州を真の代表であるということでした。より良い世界のために国境を越えて共に活動するEBCCは、何と熱心で多様な集団なのでしょうか!欧州が国家主義、利己主義、国境閉鎖、対立などの暗黒社会に落ちる危険がある今、欧州中の科学者が集められたデータを使ってより詳しい解析できるようにデータの基準づくりや手順の設定などの作業を協力して進めている様子を見ると励みになります。事実を無視した政治が席巻する現状では、正しい科学こそが健全な未来への道筋を示す重要な存在です。

会議の内容はと言えば、この日に発表された多くの研究発表が気候変動は既に生物界に深く影響を及ぼしていることを報告していました。アルプスから英国、地中海の湿地からチェコ共和国まで鳥は移動します。様々な種が、本来の分布域の南限から姿を消し、北方に分布を拡大しています。山地ではより標高の高い場所に移動しています。

このような変化は大きな規模で起きています。温暖気候と寒冷気候を好む種の割合を測る「温度親和性」という指標で見てみると、水鳥群衆は過去22年の間に300キロ以上北へ移動しました。気候変動の影響は鳥のデータに現れ始めていますが、(急速かつ時に壊滅的な)変化のほとんどは人による直接的な影響によるものです。ムクドリは北ヨーロッパ全体で個体群が崩壊し、デンマークでの調査では同様の減少が牛が草原での放牧から牧舎での飼育への転換が進んだことが原因であるとされました。この12年間で工場式畜産場の普及に伴い放牧牛は75%から25%に低下し、それと同じ時期にムクドリも姿を消していたのです。

ドイツ東部のSchorfheide-Chorin生物圏保護区からの嬉しい研究結果が、農耕地の鳥にとって数少ない希望の光となっています。ここでは持続可能な農業に巨額の投資が行われ、一部の地域では95%の作物が無農薬化され、またうまくデザインされた農業環境が大規模につくられ、花壇やちょっとした空き地や休閑地が再現されました。その結果、こうした地域では農耕地の鳥がドイツ内での平均値よりもずっと好ましい傾向が示されています(農家も同じ傾向なのです!)。

スウェーデンからのニュースはかなり残念なものです。森林管理の持続可能性の改善策として大々的に打ち出された取り組みは、2000年以降失速し、森林の鳥に対してほとんど影響がありません。皆伐地にほんの少し木を残すだけで、持続可能性証明書を取得できるのです。当然森林生態系の回復にはつながりません。更にひどいニュースは欧州ロシアとシベリアからのもので、カシラダカとシマアオジの個体群が崩壊しつつあるというのです。特にシマアオジはかつてユーラシア大陸全体に分布していましたが、その生息域は数千キロにもわたって縮小しました。その原因は調査中ですが、中国での大掛かりな罠猟が主な原因でしょう。今後のヨーロッパの鳥類分布図にはもうシマアオジは掲載されないでしょう。ヨーロッパで私たちと共に暮らす他の種で同じことが起こらないことを祈るばかりです。

 

報告者: Ariel Brunner

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