タイ・パーク・タレーにおけるプロジェクトの活動報告

バードライフ・インターナショナル東京は、2016年度トヨタ環境活動助成プログラムの支援を受けて、タイのパートナー団体であるBird Conservation Society of Thailand (BCST)と共同で、絶滅危惧種のヘラシギ等の渡り鳥の保全を進める活動を2017年1月より進めています。

このプロジェクトでは、下記2つを活動の柱としています(プロジェクトの詳細はこちら)。

(1) ヘラシギ等の保護を目的とした生息地の改善

(2) コミュニティ主導のバードツーリズムの水深

 今回、活動状況の確認と今後の取り組み等に関する意見交換のため、2017年5月に現地を訪問してきましたので、その概要をご報告します。

 

(1) ヘラシギ等の保護を目的とした生息地の改善

このプロジェクトでは、製塩が行われなくなり、大部分が干上がるなどして渡り鳥もほとんど見られなくなった塩田を、ヘラシギなどの渡り鳥の生息地として復元・管理します。具体的には、塩田の畦を取り払って海水を浅く張り、広い一つの水面として、水位の管理などを行います。シギ・チドリ類は開けた広い水面を好むことや、畦をつたって野犬などが渡り鳥を襲うことを防ぐためにも、畦を取り払うことは重要です。また、生息地として管理を始める前と後で渡り鳥や餌生物の調査を実施し、渡り鳥の生息地としての変化を把握します。

荒廃した塩田

畦を歩く野犬

(2) 地域住民の生活とバードウォッチャーとの関係性

ステークホルダーへの聞き取りの結果、地域住民とバードウォッチャーとの間で軋轢があることが報告されているものの、来ないで欲しいといったネガティブな印象は持っておらず、たくさんの人がパーク・タレーを訪問し、有名になることは歓迎したいと考えている地域住民が多いようです。したがって地域住民にバードウォッチングを広く受け入れてもらい、地域の誇るべき文化と捉えてもらうようにするためには、地域住民と連携した活動を行うことが重要です。現状では、パーク・タレーを訪れるバードウォッチャーは欧米人が多く、そのほとんどは鳥を見てはすぐに立ち去ってしまうため、地元に還元される仕組みがありません。そのためお土産店の設立や地元ガイドの育成などを通してバードウォッチングの場として整備し、地域住民とバードウォッチャーの間の関係づくりを進めることが重要となるでしょう。

塩田で働く人々

このプロジェクトでは、活動が現地の状況にどのような影響をもたらしたかを明らかにするため、プロジェクト前後で状況の評価・比較を行います。これまでにプロジェクト前の状況として、渡り鳥の調査と地域住民へのアンケート調査を実施しました。渡り鳥の調査では、本プロジェクトのシンボル種で絶滅危惧種のヘラシギのほか、オバシギ、カラフトアオアシシギ、ホウロクシギなど4種の絶滅危惧種(IUCN)が確認されました。アンケート調査では、従事したことのある環境活動はマングローブの植林であり、渡り鳥や塩田に関わるものではないことや、収入が高い人ほど保全活動に関心があることなどが明らかになりました。

今回の視察を通して、本プロジェクトの活動地が多くの渡り鳥が利用する生息地として、また多くのバードウォッチャーが訪れる場所としてその価値を確認することができました。一方で、地域住民の多くは、なぜ多くの外国人がパーク・タレーを訪れるのか知らなかったり、渡り鳥の生息地としてあるいはバードウォッチングの場としての価値を把握していなかったりすることが分かりました。今後は地域住民への啓蒙活動をはじめ、様々な活動を実施し、活動の目標実現に向けて邁進していきます。

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